元ホテルオークラグループ総料理長・ムッシュ高木シェフが教える料理の“いろは”、第6回目の今回は、フライパンを使って美味しい牛ステーキを焼き上げるコツを伝授します。ポイントは、ずばりガマン!
フライパンを動かしたい気持ちをグッと我慢して、肉にしっかり火を通し、香ばしい焼き色をつけることが大事だとムッシュは言います。
焼き上げた後に、“寝かす”という工程もご紹介します!
Lesson:フライパンで焼き上げる牛ランプ肉のステーキ
今回使う牛のランプ肉は、牛の腰からお尻にかけてを指す部位で、ステーキはもちろん、焼肉やしゃぶしゃぶ、すき焼きなどあらゆる料理に使われます。柔らかい赤身で味わい深い部位なんですよ。
今回は、ちょっと豪華にステーキにしちゃいます!
フライパンで簡単にできるので、今回ご紹介するコツを覚えて、ハレの日にゼヒちょっとした贅沢を味わってみてください!
フライパンで焼く、牛ランプ肉のステーキ
- まず、牛肉に塩コショウを振ります。もし冷蔵庫や冷凍庫にお肉を入れていた場合は、常温に戻しておいてください。
- 次に、フライパンにサラダ油を回し入れ中火で熱します。
- フライパンが熱くなってきたら、肉にコクと香り、焼き色ををつけるためにバターを投入します。
- バターが完全に溶け、油が黄金色になってきたら肉を投入します。
- あとは……接地面がこんがり焼きあがるまで待ちます!
ポイントは、絶対にフライパンの中を動かさないこと。中を動かすと、表面温度が下がってしまうのでうまく焼き色が付きません。我慢する力が大事なんです。(ムッシュ高木シェフ)
- 少し時間が経ったら、牛肉の端をめくり火の入り具合を確認します。
- 手順5と6を繰り返し、肉に焼き色が付いたらひっくり返します。
肉を返す際に、火が出る事もありますが、落ち着いて返せば大丈夫。すぐに消えます。そのためシェフは微動だにしませんでしたが、安藤さんはびっくり!
いい焼き色が付きました!
- 今度は反対側を焼いていきます。この時、油をスプーンですくって肉の表面にかけてあげることがポイントです。
- 反対側にも焼き色が付いたら、肉をフライパンから上げ、キッチンペーパーの上に乗せます。
- さらにその上にキッチンペーパーをかぶせて余計な油を取るとともに、1分程度置くことで余熱で中まで火を通します。
この工程を料理界では寝かす、あるいは眠らすと言うのだそう。レストランでもこの工程を経てからお客さんのもとに運ばれるんだそうですよ。
例えば、肉の表面温度が80度、中の温度が60度とする時、この工程を挟むことで、全体が均一に70度になるんです。人間で例えると、お風呂上がりの体に似ていますね。お風呂上がりはもちろんポカポカしていますが、体をふいて何かを羽織るとじわ~っと温まるでしょ?(ムッシュ高木シェフ)
- 1分程度寝かせたら、スライスして完成です! 表面はこんがり、中はミディアムに焼きあがりました。
いかがでしたか? 簡単と感じていただけたのではないでしょうか。

素敵な出来映えに思わず笑顔がこぼれるスタッフ安藤さん。
レストラン品質の焼き加減がフライパンひとつでできてしまうのですから、試さない手はありませんよね?
ぜひ、ご家族と、お友達と、本格ステーキを堪能してみてください。
最後にワンポイント! ~何はなくともペッパーミル~

一般的なペッパーミル。
ムッシュは、コショウを挽くためのミルはどんな調理器具よりもまず手に入れておいた方がよいと教えてくれました。使う直前に挽くことができるので、香りが断然違うのだそう。確かに、実際の調理過程でもコショウのスパイシーな香ばしさが際立っていました。ミルは安いものでしたら1,000円もしないで手に入るので是非購入してみてください!
ちなみに、フレンチではミルをムーランと呼ぶのだそうですよ。
次回は、フライパンを使った肉の焼き方:鶏モモ肉のステーキをお届けします。皮はパリッとクリスピー、中はふっくらジューシーな鶏モモ肉のステーキを作るコツををご紹介します。
お楽しみに!
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ムッシュ髙木の料理の基本(だし・ソース・ドレッシング編)
“ムッシュ髙木のおウチでかんたん!裏ワザレシピ” Produced by Xシェフ
髙木裕美知シェフ(ムッシュ髙木)プロフィール
1953年、北海道・旭川生まれ。元オークラアカデミアパークホテル総支配人兼総料理長。元グァムホテルオークラ「フランボヤン」料理長、元ホテルオークラ東京レストラン「カメリア」副料理長。天皇皇后両陛下や皇太子殿下宿泊の際は料理責任者を務める。ムッシュ高木は、素材の声に耳を傾け、「食事の喜び」をテーマに料理を創る。使う食材はフレンチでも、薬膳料理のようにお箸でも食べられる。翌朝の目覚めがとても健やかな「毎日食べたくなる、からだにやさしい食事」だ。庶民的感覚も持ち合わせ、飾らないユニークなキャラクターでも人気を博している。食を通したオリジナリティ豊かな発想で“闘うシェフ”とも呼ばれる。 →もっと詳しいプロフィールへ
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